今月のドルチェは、「カンノーリ・シチリアーニ」。先月ご紹介したカッサータ同様、南イタリアはシチリア州の郷土菓子です。
シチリア菓子の「カンノーロ(複数型でカンノーリということが一般的です)」は、かつては2月の「カルネヴァーレ(謝肉祭)」の時期にだけ食べられるドルチェでした。ご存知のかたも多いかも知れませんが、イタリア全土でこのカーニヴァルの時期に揚げ菓子を食べる習慣があります。
大学の卒業旅行で初めてイタリアを訪れたのは、2月の終わり。フィレンツェ郊外のパスティッチェリアのウィンドウにはまだ名残の「キァッケレ(「おしゃべり」という可愛い名前のついたトスカーナ地方の揚げ菓子)」がありました。カンノーリの生地にはシチリア産のマルサーラ酒を入れますが、キァッケレにはトスカーナ産のヴィンサントかグラッパを加えて作り、どちらも粉糖をたっぷりふって仕上げます。
有名な映画「ゴッドファーザー パートⅢ」の中でも、オペラ座であるパレルモのマッシモ劇場でカンノーリが登場するシーンがあります。実際にモデルとなった、シチリア出身の実在のマフィアのボスの好物だったのだそうで、案外皆さんもどこかで目にしたことがあるかもしれません。が、なかなか口にする機会はないですよね〜。中部より北に長く暮らした私も食べるチャンスがなく、数年前のシチリア旅行で初めて食べました。
アルミホイルで型を作って、案外簡単に作れるんですよ。
と、連日レッスンで熱心に説いてはみたものの、残念ながら生徒の皆さんもポカーンとした顔をされるだけ…とはいえ、ご試食頂いたら、揚げたてのカンノーリはサックサクで美味しく、中には、「先生、揚げた筒とクリームを詰めた絞り袋をセットにして、カンノーリセットを売ったら?」という現実的なご意見まで(笑)。
レッスンで紹介したのは、ピッコラ・パスティッチェリア(食後の小菓子)で出るような小さなサイズのカンノーリです。リコッタに砂糖を加えるだけで完成する簡単なクリームには、今月も自家製の伊予かんピールとヴァローナのカラクを刻んで加えています。クリームの両端はピスタチオで飾って。
一方、一般的なカンノーリの大きさは直径2.5〜3㎝の太さで、12〜16㎝角の生地で作ります。地方によっては25センチという巨大なカンノーリもあるそうで、一体どうやって食べるのでしょう?
現在では、木やアルミの筒の形をした型に生地を巻きつけて揚げているけれど、昔は「 Canna=さとうきび」を型に使っていたことが名前の由来だそう。生地にココアパウダーを加えても美味。