今月の前菜は、「帆立のプディング」。トッピングにはゆずドレッシングで和えた帆立の他に、菜花のゆずマヨネーズ和えとゆりね、炙った唐墨をのせています。
食いしん坊の友人がイタリア料理店のイベントで食べて、大絶賛していた1品。「玉緒さん、是非作ってみてくださいよ」と言われたはいいけれど、食べたこともない料理を写真と感想だけで想像して作るのは、さすがに難し過ぎました。
「せめて、もう少しヒントを!」と思い、知り合いでもあるそのシェフに尋ねたところ、大事なリチェッタを教えてくれました。そこから応用して試作をし、ご家庭で作りやすいようにアレンジ。お店では鱈の白子やたらば蟹を豪華にのせてサーヴィスされたそうですが、私はフィリングにも使った生食用の帆立貝柱をさっと炒めて、食感にアクセントをつけてみました。
「洋風茶碗蒸し」のようなものですから、今回紹介したように冷たい状態はもちろん、温かい状態で食べても美味。蒸し上げたあともかなりやわらかいので、プディングというよりイメージとしてはクレームブリュレに近いかもしれません。プディング自体はあくまで繊細な味に仕上げておいて、トッピングで香りや塩気を補ってあげると、すっきりあか抜けた出来映えになりますね。
塩気を+する意味でも便利に使わせて頂いた唐墨(からすみ)は、スタッフの鈴木さんのご実家から送って頂いたもの。先月紹介したブラジル産の西京漬けとはまた違って、ものすごく立派なサイズの味わい深い鯔子でしたので、機会を改めてまたご紹介したいと思っています。
鈴木さんのお父様は、
静岡の「弁いち」さんという日本料理店の三代目でいらして、
「板前日記」という人気のサイトをもう長いこと続けられています。お節をお願いしたこともあるのですが、丁寧で安心して楽しめる真っ当な仕事の数々、是非お店にも近いうちにお邪魔したいと願っていて、その日が今から待ち遠しい。