11月のセコンド・ピアットは、「シャラン鴨むね肉のタリアータ ザクロソース」でした。
中東の料理では馴染み深いザクロですが、イタリアでも晩秋〜冬にかけてザクロを使った料理を時折見かけます。留学中もクリスマスのメニューで、ザクロ果汁をベースにしたドレッシングで和えた「フォアグラパテを添えたグリーンサラダ」を料理学校で習いました。赤い実を散らした様子も可愛くて、日本に帰ってからもおもてなしで何度か使った思い出深い料理です。
毎年一度は鴨肉を使った一品を紹介しているのですが、「何か目新しいソースはないかしら」とつぶやいていたら、イタリア人の友人から、「最近はオレンジソースにザクロも一緒に加えるのが流行っている」という耳寄りな情報を!イタリアでも鴨といえばオレンジソースが一番知られた料理なのですが、ポリフェノールも多いザクロのソースは健康的で、クリスマスのご馳走にも使って頂けそうだし、赤い実を散らした様子はお正月料理にも応用がききそう、とザクロオンリーで行くことに。
レシピのエシャロットはなかったら玉ねぎか赤玉ねぎで代用して下さいね。また、そのままザクロをオレンジ果汁に替えて作れば、オレンジソースも美味しく出来上がります。教室ではおいしく香りのよい「オレンジの花の蜂蜜」を使いましたので、蜂蜜は写真のように別添えにしてタラリとスプーンで垂らしたけれど、予めソースの仕上げに溶かしておいてももちろん美味。
今回のシャラン鴨はゴードン・ラムゼイ氏の焼き方に倣って、冷たいスキレットでスタートして二度加熱するスタイルをご紹介しました。300g前後の胸肉をレシピ通りに焼いて頂ければ、どなたでも間違いなくこのような薔薇色にドリップなしで焼き上げることができます。但し、肉に打つ塩の分量だけは同じ300gの肉でも厚みによって変わってくるので、最初に挑戦する場合は少なめの%で準備して下さいね。タリアータ風スライスは冷めても美味しいし、前菜でお教えした長ネギのマリネに添えるのもお勧めです。
また、コントルノ(付け合わせ)のロースト野菜は、紫色した玉ねぎとトレヴィスに、オレンジ色のパプリカと人参を彩りよく…盛りつけも落ち着いてきた後半のクラスでは、テーブルにお皿が届いた途端に、「まぁ、綺麗!」という生徒さんの声がたくさん聞こえてきて嬉しいことでしたが、「目にもご馳走を!」の気持ちは大切ですよね。無難にじゃがいものピュレを合わせてもよかったのだけれど、この色合い、アイディアを目にして頂きたくて。
ご存知のように、トレヴィス(トレヴィーゾ)はイタリアでは人気の野菜。火を通すと多少甘みがでるとはいえ、このほろ苦さが苦手な方が多いようでしたので、後半のクラスでは人参をグラッセにして出しました。「これも食文化の紹介だから」とスタッフからも「苦い!」という声があがっていたのに敢えてトレヴィスは外さなかったのだけれど、最初から思いやりをもって人参を甘くしておくべきでした、火曜&水曜クラスの皆様、ホントにごめんなさい!
ご希望の方が多かったので、美味しく復習して頂けるように、ご予約の方に12月のレッスン日にチルド輸入の仏産シャラン鴨をご用意します。詳しくはメールまたはお電話でお問い合わせ下さいませ。無添加ザクロジュースも来月までは教室でも販売中です。
写真はピンぼけで冴えないけれど、レッスン用には鴨のカットを替えて角切りにしたものをブロードで炊いた大根と一緒に添えてサーヴィスしてみました。
長年通って下さっている生徒さんにはどちらもお馴染みの切り方ですが、こんなふうにコロコロ切りにした鴨肉をじゅわーっと噛み締める美味しさというのもあって、どちらも味わって頂きたかったのです。ザクロやオレンジのソースの代わりに、「バルサミコを煮詰めるだけでもおいしいですよ」という簡単アレンジでご紹介。
冬に向けて甘みを増す大根にフォアグラというのはよくある組み合わせで、鴨にも合うと思います。ザクロソースに合わせる鴨肉の代用は鶏ももや豚肉(肩ロースやロースのポークソテーにこのソースでも美味!)でどうぞ。
イタリアではお安いザクロですが、東京で買い求めると結構立派なお値段です。やっぱり無添加ザクロジュースを上手に使うのがお勧めかな。