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 ~ イタリア料理・西洋菓子教室主宰 田中玉緒のオフィシャルブログ
乳飲み仔羊
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Buona Pasqua!(イースター、おめでとう)

キリスト教徒にとって大事な行事のひとつ復活祭は、月の満ち欠けと暦の関係で毎年日付が変わります。今日日曜日は2010年の復活祭に当たるのですが、1日早い昨日、イタリアのパスクアの定番料理「仔羊」を焼いて友人たちと楽しみました。

セコンドにしたのは火曜日からの研究科のレッスンで紹介したい食材、「乳飲み仔羊」。イタリア語では「アバッキオ」とか「アニェッロ・ディ・ラッテ」と呼びますが、仏名の「アニョー・ド・レ」のほうが日本でも一般的かもしれませんね。

まだ草を食む前の、母乳だけしか口にしていない仔羊のやわらかい肉質とミルキーな香りは格別なもの。

用意したのはチルド輸入のハンガリー産。空輸で週2回届いていますので、以前日本で食べられていた乳飲みよりずっとコンディションがよく、ヨーロッパで頂くのと同じような繊細な風味。ご家庭で復習するのは普通のラムになってしまうかもしれないけれど、生徒の皆さんにも「是非一度このミルクラムを食べてみてもらいたい!」と考えています。このまま手配が順調にいくとよいのですが…



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ラムラックくらいは掃除できても、さすがに半頭の羊をさばくのは初めてのこと…お近くのリストランテ「コルテージア」の江部シェフに指南を仰ぎ、お言葉に甘えて実践を見学するため、届いたお肉とともに厨房へ。

到着するなり、「何、玉緒ちゃん、これ、バッグに入れてきたの?」とシェフに大笑いされてしまいましたが、いくら2分もかからない距離とはいえ保冷箱ごと持ち歩くと両手がふさがりますし、保冷バッグに真空パックの仔羊を入れて…お洒落な街青山を羊の脚をちらっとカバンからのぞかせたままで歩く私。

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まずはフィレの肉を傷つけないようにして後ろ脚を外します。

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「なるほど、この包丁の角度で落とすのか!」と肝心なところでレンズを寄せると、何故かシェフまでフレームに飛び込んできました(笑)。

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今回皆さんに食べて頂こうと思っているのは、この後ろ脚の部分のアル フォルノ(オーブン焼き)。ここまではよかったのですが…

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やっぱりどうしてもお茶目な落ちをつけたい江部シェフのようです。

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ランチタイムの営業が終った頃に伺ったため、スタッフの皆さんはまかないの準備中。

「休憩時間のお邪魔をしてしまって、本当に申し訳ないです」と申し上げたものの、あらゆる角度から肉と江部さんの雄姿をパチパチ写真に撮りまくる様子に、「いえいえ、何だか随分楽しそうですねぇ(笑)」と加藤マネージャー。

厨房の紅一点さっちゃんも(動いているのはさっちゃんの手!)変わらず頑張って働いています。

まかないはおいしそうな豚カツ!昔、さっちゃんがコルテージアさんに入りたての頃、営業では使わない、比内鶏の「皮だけ」を揚げたカツ丼もどきをまかないで作って、シェフを驚かせたという逸話(材料を無駄にしない精神は素晴らしいものの、相当インパクトのあるボリュームだったそうですよ!脂に油!)を、懐かしく思い出しました。

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「コルテージア」の江部さんは、プーリア料理の第一人者といわれている方。

が、日本橋浜町のアルポンテさんの厨房にいらした頃からの、15年近い長いお付き合いなものですから、素晴らしい仕上がりのオレキエッテを目にしてうっかり、「すご〜い。これ、向こうで見るホンモノにそっくり!」などという失言を…よそのオレキエッテに比べてくぼみが深いこんな感じが、ラグーやソースが絡んでおいしいのです。

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さすがはプロ、ものの5分で手際よく解体レッスンを終えて…部位ごとに持参したビニールに入れて再びバッグに詰め込むと、今度は無事ショッピングバッグから肉が飛び出さず、普通の女性の姿で帰ることができました。

「スープの冷めない距離」ならぬ、「生肉の温まらない距離」の有難さ!江部さん、コルテージアのスタッフの皆さん、本当にありがとうございます。

というわけで、生徒の皆様からもご希望があれば、乳飲み仔羊の仕入れのご相談にも応じる予定でおりますし、一般の皆さんでも手に入るラムの脚やラムラックにも合うおいしいソースを、春らしい付け合わせとともにご紹介いたします。どうぞ春の味覚を楽しみにいらして下さいね!

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江部さんからは、「なるべく肉に傷をつけずにそのまま焼いたほうがおいしいよ。このまま(半頭)ごと焼くのが一番なんだから」とのアドバイス。でも、さすがに丸焼きはオーブンに入りませんし、ここはシチリアではないから生徒さんもビックリしてしまうことでしょう。

脚1本すら天板に収まらないような気がして、脚首の関節で落としてもらって焼きました。ブレスの鶏や中勢以さんの熟成肉を焼いたときにも思ったことですが、脂の香りがよいせいか、オーブンで焼いている間も贅沢な気分に。

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さてさて、乳飲みばかりは、業者さんから仕入れても立派な価格…いつもレッスン直前に完成品の試食をお願いする友人一同にも、コンカイは申し訳ないけれど会費制で助けてもらいました。

あばらもラックで焼いてみたかったから、プリモもなしで乳飲みを堪能してもらい、後はトマトのサラダと室温に戻したモンドールを蒸し野菜やパンとともに。

ご入会前に、また、毎月通えない方けれど教室に一度いらしてみたいというご希望のかたにも、気軽にご参加いただけます。HP内の「Le Informazioni お知らせ」欄から、お申し込み頂けますので、是非ご覧くださいませ。

尚、頂いたeメールには必ずお返事を差し上げています。2〜3日経ちましても連絡がないような場合には、お手数ですが再度お問い合わせいただけますよう、お願い申し上げます。

by amarone-masi | 2010-04-04 11:02 | 日々のあれこれ
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