愛用しているオリーブオイル3種のうちのひとつが、このピエトロ・コリチェッリ社のエクストラ・ヴェルジネ(写真:後列の四角い瓶)。このたび同社の創業70周年を記念して、オーナー自らセレクトして作った「リゼルヴァ・プレジデンテ」(写真:手前)という美味しいオリーブオイルが限定発売されました。
ピエトロ・コリチェッリ社はウンブリア州スポレートが拠点。イタリア留学中に使っていたお気に入りのオリーブオイルがウンブリア産だったこともあり、肉料理全般に合わせるのはトスカーナ産ではなくウンブリアのオイルが贔屓です。
教室で基本にしているのは、フルーティでくせのないリグーリアのタジャスカ種からできたアルドイーノ社のものと、このピエトロ・コリチェッリ社のもの。主に魚介と肉の料理に、それぞれ使い分けています。その他にもう一種、気分によってヴェローナのサルバーニョか、シチリアはデメートラ社のオイルを用意して楽しんでいるわけですが…いつも言うように、オリーブオイルはただの油ではなく調味料みたいなものですから、余裕があれば産地を変えて2本お持ちになるときっとさらに料理が楽しくなりますよ。
と、前置きが長くなりましたが、今週輸入元であるフードライナーさん主催で、「リゼルヴァ・プレジデンテ」の発売を記念したディナー・パーティがありました。こういうイベントに参加することは滅多にないのですが、今回は長年愛用してきたPコリチェッリ社の新製品ということで、雨の中楽しみに会場の「リストランテ ヒロ 銀座」へ。
「写真撮影OK」と伺っていたから、ブログのネタにと張りきってデジカメを持参したはよいけれど…張りきりすぎて、出がけに念のために充電したバッテリーを入れ忘れ、結局いつものごとく携帯写真家として活躍。
しかし、夜間の室内は私の携帯では本当にお粗末な写真しか残せず。山田シェフには申し訳ないようですが、お料理がとてもおいしかったから、以下記録のためにちらっとご紹介させて下さい。隣席になった、来日中のPコリチェッリ社のかたのi Phoneは、さすがに綺麗に撮れていて感心!自社社長の挨拶など、ムービーで真剣に録画中。
関係者の方々の挨拶が一通り終わると、イタリアの風景やオリーブオイル作りについてのビデオが流れました。その後、お食事がスタートするわけですが、液体窒素を使って「リゼルヴァ・プレジデンテ」を粉末にするところをシェフ自ら実演。
ちなみに金髪の山田シェフは、「今日のイベントのために、髪の色を変えました」と仰っていたけれど、本当でしょうか?
とにかく香りが抜群の「リゼルヴァ・プレジデンテ」は、できれば加熱しないで使いたいタイプのオリーブオイル。シチリア産のオリーブを使って作っていますが、同州のオイル特有の青臭さは弱く、辛すぎず、かといってフルーティ過ぎず、とにかく全体にバランスがよいエレガントな雰囲気。
写真は、「普通は分離するところを、とにかく根性でつなげました」とシェフがコメントされていた「水を加えたリゼルヴァ・プレジデンテ」。テクスチャーとしてはもったりと重さが出てパンにのせやすく、食べ口には軽さがあって大変美味しかった!私もなんとか根性でつなげて、来週からのレッスンで生徒さんにサーヴィスしたいと思っています。イタリア人の方々も「Buona idea!」と感嘆して、お代わりまでしていましたよ。
こちらがスターターの一皿、山田シェフお得意の「トマトの冷製カペッリーニ」に先ほどの粉末オイルをのせたもの。
ゲストはご年配の男性がほとんど。4人がけのテーブルに案内され、場違いな雰囲気の私をフードライナー社のかたが、「She is cooking teacher! 」と紹介してくださったのはよいのですが…「英語は話せますか?」と聞かれたので、うっかり反射的に「少し話せます」とイタリア語で答えると、彼の顔が明るくなって、「Ah, Lei parla I'italiano! (ああ、イタリア語ができるんですね! 」。
が、青くなったのは私のほうで、同席したゲストのかた2人が、「英語もイタリア語もできませんから任せます」と仰って、以降100%イタリア語漬けの2時間半。ユニークなお料理を次々出されるので説明に困りましたが、中でもこの「液体窒素」という単語がわからず、「スペインのエルブリみたいな」などといろいろ言ってみたものの通じず…最後は隣のテーブルの役員さんについていた通訳の女性から助け舟。
甘鯛のうろこ焼き。彩りよく野菜が添えられて、実際はもっともっと美しいお皿でした。
イカスミを練り込んだトレディータという手打ちパスタ。
写真がひどくて本当に残念ですが、素晴らしくおいしかった蝦夷鹿のロースト。びっくりするほどやわらかく火が通っていました。お隣の彼も、「なんで、Cervo (鹿)がこんなにやわらかいんだ!」と感嘆の声。
このPコリチェッリ社の男性もすでに日本へは何度目かの出張だそうですが、「おいしいイタリア料理を食べたければ、日本にくるに限る。イタリアでもこんなに美味しいイタリア料理はそうそう食べられない」と仰るから、「私もそう思うけれど、それは私が日本人だからかしら、と思っていた」と答えると、「いや、日本のイタリア料理は世界中で一番おいしい」とまで仰っていたので、お世辞でもないのでしょうか。
食事を終えて、Pコリチェッリの社長さんのご挨拶でも、「山田シェフは天才だ!」という言葉が何度も出ました。同じ日本人として、ひたすらパクパク食べていた私まで、何だか誇らしい気持ちになりましたよ。