今月の前菜は、「イサキの和風カルパッチョ」。
鮮魚に恵まれた日本ならではのアレンジで、「カルパッチョ」にしてはやや厚切りの昆布〆したイサキを、甘エビや海ぶどうと盛りつけています。アクセントにしたのは、ホワイト・バルサミコのゼリー、こちらも目に涼しげです。
イタリアにも「コラトゥーラ・ディ・アリチ」といって、発酵させたかたくち鰯から作る魚醤があります。甘エビにそれを少々ふりかけて、全体は塩とオリーブオイルで味をまとめ、和風ハーブのみょうがを添えて。
イサキも1キロを超える大イサキともなると、塩焼きにするおなじみのイサキとは全く違った印象で、すごく脂がのっています。
小さいものに比べると、その身の色もだいぶ赤いですね。
何より「新鮮な魚が一番!」と考えがちですが、鮮度がよすぎる身を生で食べても、コリコリした食感が勝ってしまって、魚本来の旨みが楽しめなかったり、グリルにしても身の弾力が気になっておいしく感じられなかったりと、魚も奥が深いです。
築地場内から魚介を届けてもらっている吉沢水産の三代目の若旦那さんと、あれこれやりとりをしながら毎回毎回勉強中。また、魚のことは和食のプロに伺うのが一番だと、今回も静岡の
弁いちさんにも教えを乞いました。
ちなみに、こちらは焼きもの用にした800gくらいのイサキの中骨。イサキとしては、これでも随分大きいほうです。
今回、魚の昆布〆に使ったのは、
井出水産さんの「パウダー昆布」。
昆布100%の粉末ですから、普段の食卓でも、忙しいときには手軽に使えて便利ですよ。