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 ~ イタリア料理・西洋菓子教室主宰 田中玉緒のオフィシャルブログ
大事な人たち
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今朝も5時半起き、午前中の外出の前に、掃除をして簡単にテーブルを調えて出発。お花を買いにいく余裕がなかったので、ちょっぴり淋しい卓上にはベランダのオリーブの小枝を添えて。

ランチタイムには、浜町時代からの生徒さんで引き菓子作成やお菓子のクラスのお手伝いにもきてくれていたRちゃんと、友人Uちゃん&可愛い次男ちゃんを交えて、和食レッスンの試作品その②で、簡単な食事を楽しみました。

現在Rちゃんは湘南在住、なかなか会う機会も少なくなってしまったけれど、お子さん連れで都内のご実家に帰省の際には、こうして連絡をくれてテーブルを一緒に囲みます。

今日は一時期三人で「ミス・タナカ・グループ」(って三人きりの団体ですが…)として仲よくしていたUちゃんとお子さんも駆けつけて。

「便利な場所にある」ということもあるでしょうが、日当りのよいこの古いマンションを皆さんが気に入って下さって、レッスン以外の機会にも喜んで訪れてくれるのは嬉しいこと。

少々慌ただしい月曜なのでデリバリーもちょっと考えたけれど、気分よく早く目覚めたから、やっぱり無理のない範囲で自作の料理を振る舞うことに!



たまたま偶然、昨夜あるデータを探していて、昔の日記のこの頁にばったり出逢いました。ちょうどまさに、今日のゲストである彼女たちも、私にとってはもはや家族みたいなもの、大事な人たちです。
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「人間、たまには自分の人生を自分で揺すってみて、変化を与えることも大切です」…なるほど。

会ったこともないのに、私の人生に大きな影響を与えた2人のアメリカ人がいる。

大事な人たち_e0123666_1092156.jpg1人目はなんといっても、私がこの道に進むキッカケになった人物、Lee Bailey。

まず間違いなく〜〜なのだと思うが、ひげを蓄えた好爺やのような風貌の彼。本業はフォトグラファーなのに、週末彼の家やロングアイランドにある別荘に招かれた人たちの口から評判がたち、83年に「Country Weekend」という料理本を出した。

もちろん撮影は彼自身で。

ちょうど六本木にWAVEができた頃、女子美に進んだ親友H子と美大を諦めて予備校通いをしていた私は、暇があるとその洋書フロアに入り浸っていた。

女子校で知り合った彼女のお姉さんがモデルをしていた影響もあって、何しろ中学生で「流行通信」を読むようなイヤな子供たちだったから、後のイタリア好きにつながる「Vogue Bambini」や「Vogue Casa」といった洋雑誌を眺めたりすることで、何となくお洒落な自分たちのムードに酔って満足していたのだと思う。所詮は子供だったから。

そこで出会った運命を変える1冊が彼の「Country Weekend」だった。

当時にしたら大奮発をして、買ってきたその本を片手にベーキングに励んだ。今見てもそれほど古さを感じさせないセッティング、気取りのない素朴な料理の数々。彼は花を生けるのも上手だった。

大事な人たち_e0123666_10114852.jpgさて、バタバタしそうな11月の分まで勢いにのって試作を済ませ、座ってレシピでも打ちながらひと息つこうと思ったら、狭いプライベートルームには足の踏み場もない。

そうそう、衣替えをしたついでに、読み終わった本やCDの整理にかかっていたのだ。

写真は明朝撮ったほうが美しいと思うので、とりあえず眠る前に残しておきたい言葉だけをしたためる。

片付けていたら出てきたスクラップブック。昔は今ほど次々と料理本も出版されず、こうして高校生の頃から雑誌や何かから切り抜いた記事が手元にたくさんある。インテリアに興味があった自分らしく、半分は料理以外のもの。

雑誌は読むそばから必要な記事だけビリビリ破いて捨てちゃう主義だったので、何冊ものスクラップが溜まっている。

で、その中に懐かしい2人の顔を見つけた。記事は古色蒼然としてきてしまい、ブログ上で写真に残して処分しようと思う。でも、心に残るいくつかの言葉だけは拾っておくことに…冒頭の素敵な一節も彼の言葉。

大事な人たち_e0123666_10161011.jpg「週末を快適に過ごす一番大切なことは、やりすぎないこと」。

「自分の能力を超えたことやスケジュールは疲れを残すだけです。

そして、訪れたゲストにはできるだけ優雅に、気楽にやったように見せるべき。あなたが快適であればおもてなしはそれだけでもう成功したといえます」。

味覚に敏感な南部の料理人がいる大家族の家に育ち、料理に関しては思い出がつきないという。

上記の台詞も全く忘れていたことだけど、最近自分が生徒さんに向けて書いたコラムにも、同じようなことを書いていた。

「親しい人を招くときは、なるべくカジュアルに、リラックスしてもらえる雰囲気にすることを心がけています。料理も決して頑張りすぎないこと」…著書の最初に記された言葉と似たようなことを書いている。

18歳で出会った彼の言葉がすでにしみついていたのか、それとも自分と同じように考える人物であったから、彼と彼の料理を好きになったのか。

大事な人たち_e0123666_1021159.jpg「カントリーハウスにいるときは自然が奏でるシンフォニー、鳥の声や波の音、花たちの合唱、それらの中でゆったりと流れる時間に身をまかせながら、ディナーのメニューやゲストのことを考えたりする。

自由気ままに自分のしたいようにして時を過ごしている。これは仕事でも料理でもおもてなしでも全てに共通することで、リラックスして時を過ごすことが、ゲストを疲れさせない最高のおもてなしだと思う」。

「人をもてなすときは決してビジネスのためにはしません。たとえビジネスランチでも」と語る彼。テーブルセッティングのポイントは「シンプルで心地よいこと」。

「作り過ぎは不自然だし嫌いだ」という。「ゲストたちがテーブルにつき、心地よい雰囲気を感じてくれればそれでよく、無理をしないこと。花でもフルーツでも飾り過ぎず、『自然をそのままテーブルにとりいれること』」。

「私にとって料理は見かけにこだわらず、作ってみようという気にさせるものです」。

大事な人たち_e0123666_10225746.jpg「若い頃はよく旅をしたけれど、年をとって少し気難しくなってきた」と照れた後、「それでも旅に出ると何かしら新しい発見があるから、今でもワクワクする」と…そうそう、本当に!

旅に出ると必ず新たなインスピレーションを受けるし、何かしら創造する仕事に携わるうえで、旅行って本当に有効なソースになる。仕事に反映されるだけではなく、日常のささやかなクリエーションのヒントももらえる。

「おもてなしは多彩なご馳走ではなく、友人たちの好きな料理を作って気分よくさせること」。

自分も友人も気分よく過ごせる工夫、そのために特別な努力をするのは苦痛だから、あくまで自然に、無理をしないことが大切。

庭一杯に植えられた草花を無造作に摘んで飾り、そして肌寒い日には暖炉に火を入れて友人たちと語り合う週末、永遠の憧れ。

もう1人は女性、Peri Wolfmanというテーブル・デコレーターだ。彼女はL.Bailey氏の友人なので、同時にその存在を知った。著書である「Perfect Setting」は、それこそ一時期私のバイブルだった。

大事な人たち_e0123666_10271776.jpgコーディネイトのポイントは?と尋ねられると、「時間をかけてわざわざセッティングをしないこと。素早くできることが一番」と彼女。

花屋を駆け回ったりして忙しい時間を過ごすことは彼女の主義に反するという。

花がなければ自分の身の回りにある果物や野菜を使えばよく、誰もが同じようにテーブルの中央に花を飾るより、いかに心地よくゲストをもてなすかを考えることに時間を割くほうがよいと。

今でこそ野菜や果物をテーブルに飾るのは全く珍しいことではないが、キャンドルの周囲にアスパラを巻いたりするアレンジは、当時は本当に新鮮で記憶に残るものだった。

「料理にかける時間は2時間。それ以上は疲れが残るだけで、自分にとって幸せな時間ではなくなるから」。料理を作りながらテーブルをセットし、素敵な演出を考えているときが一番幸せだというPeriが、いつも心がけていることは、「カジュアルな雰囲気作り」。

「ティファニー風の現実を無視したセッティングは、私には無意味で魅力がありません」とも。

「もちろん学ぶために誰かのコピーをすることが必要なのは理解できるけど、本当のコピーはするべきではない」。できるだけ同じセッティングを繰り返さないことをワクワクするほど楽しむのだという。

大事な人たち_e0123666_10284229.jpg私の「白好き」もこの辺りからスタートしたのだと思うが、洋書で目にした彼女のキッチンには本当に憧れた。

「白にこだわるのはクリーンで静寂な環境を保ちたいからで、私にとってはそれが最も快適なのです」。

「白はシンプルでスタイリッシュ、それでいて非常にエレガントな色なので、ヘビーな白からクリーミィな白まで、例え素材の違うものを組み合わせても落ち着くことを知って、本当に白が好きになった」のだそう。

カメラマンの旦那様を持ち、それぞれの子供が2人ずついる彼女だが、「友人たちも子供たちも全て一緒」という考えで家族のコミュニケーションをとっており、「食事を通して社交をしてもらいたい」という新しいスタイルの家族主義を提案している。

これも現在の自分に無意識のうちにものすごく影響を与えている考え方。

同じテーブルについて、手作りの料理を食べることで、自分にとって大事な人が増えていく感覚、決して血のつながった家族だけではない、人との結びつき。

なんでもかんでも捨てちゃう私も、こうしてちゃんと大切なものはとっておいたわけですよ、Wさん!で、これでさっぱり捨てられます。

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と、何年も前の日記からほぼそのまま転載なので言葉も雑で、また転載させて頂いた雑誌も今となっては正確にはわからずに(たぶんおそらく、母が読んでいた「家庭画報」からの抜粋です)、ルール違反かもしれませんが…。

その後リー・ベイリー氏の消息を知る機会もないし、たまたま昨夜タイミングよく見つけ、「2人とも素敵な考え方だなぁ」と今でも改めて思うので、ちょっとココに残させて下さいね☆
by amarone-masi | 2013-03-25 23:36 | 日々のあれこれ
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