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 ~ イタリア料理・西洋菓子教室主宰 田中玉緒のオフィシャルブログ
桜ますのポシェ 
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4月の研究科のセコンド・ピアットは、「桜ますのポシェ」、季節の魚を香味野菜で蒸し上げて、グリーンピースのピュレを添えています。

仕上げに、海の香りそのもののボルディエさんの海藻バターをのせて、たっぷりのハーブも一緒に召し上がって頂きました。最後に、砕いた真っ赤な薔薇胡椒をパラパラとふって、美味しいオリーブオイルをまわしかけたら完成です。



レッスンでは、東北〜北海道で穫れている旬の桜ますを「皮をひいたフィレ」の状態で使いましたが、生徒さんとのお約束ですから、ご参考までに全体像を1枚。市場の状況は毎日違うため、この日は1.5キロの鱒(ます)が2本届きました。

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日によっては、2.5キロのたっぷりした大きいますが1本のこともありました。大きいほうが脂ものって美味しいと言われているけれど、小ぶりのものより川魚特有のクセも強いようです。が、いずれも香味野菜とハーブ、レモンのスライスでマリネしてから香り蒸しにしているので、ご試食のときにはそんなにクセも気にならず、美味しく食べて頂けたと思います。ますが手に入らないときは、生鮭で代用して作ってみて下さいね。

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さて、フランス北部のブルターニュ地方は世界的に有名な塩の産地であり、無塩バターがポピュラーなヨーロッパには珍しく、この地でとれる美味しい塩を使った有塩バターが盛んに作られています。

中でも最近もっぱらパリの三つ星レストランのシェフの間でも高い評価を受けているのが、サン・マロに本店を構える、「ラ・フロマージェ・ジャン・イヴ・ボルディエ」のバター。ボルディエさんのメイン商品は、海塩を使用した「ブール・ドゥミ・セル」で、濃い黄色をした、乳製品の甘さの中にしっかり海の味の塩気がきいた有塩バターです。

こちらのアトリエでは、現在でも手作業工程を残した製造を続けています。時間と手をかけてできあがったバターを、最後にツゲ材の木ベラで一つずつ手作業で成形。この作業も昔は広く行われていた方法だそうで、最後にバターを叩くことで、余分な水分「バターの涙」が、表面にしみ出てくるのですって…そんな丁寧な手作業を経て、柔らかく濃厚なバターができるのですね。

昨年末にブログでも取り上げましたが、私が一番訪れてみたかった同じブルターニュのカンカルにある三ツ星「メゾン・ド・ブリクール(Maison de Bricour)」では、早くから地元ボルディエさんのバターを使っていました。

そんなこともあって、だいぶ前から噂には聞いていたものの、ブルターニュはもちろんパリ(「ル・ボン・マルシェ」のラ・グランド・エピスリーでも購入できます)を訪れる機会もなかなかなく、昨春新宿伊勢丹のフランス展で、このチーズのような風味豊かなバターを初めて口にしました。食べた瞬間にこれを使ったいろんな料理を考えつきイマジネーションが大変刺激され、フランス製品ではありますが、是非一度生徒の皆さんにも食べさせてあげたかった。

比較的新しい製品である「スモーク風味のバター」は鶏の胸肉などに、また今回使った「海藻バター」は、甘みのある大粒のホタテのグリルに合わせても美味しそう…とびきり美味しい食材に出会うと、新しい料理も自然とどんどん生まれるもの。

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ごくごく単純なレシピで簡単にできるグリーンピースのピュレは、初夏に向けての「目のご馳走」です。自然な甘みが強いソースなので、お家で復習なさるときは、しっかり塩をきかせて、皮めをかりっと焼き上げた「真鯛のグリル」と合わせるのもおすすめですよ。

レッスンでは久しぶりに「ポシェ」という家庭向きの調理法をお教えしたかったのと、ボルディエさんのバターに合わせて桜マスを使いたかったため、少々凝った構成にしました。皮の代わりといってはナンですが、旬の小さな新じゃがを、カリッと揚げて魚の下に並べることで食感を補っています。

これは自家製ポテトチップスですから、余分に揚げておかれても、しばらくおつまみで楽しむことができますよ。揚げたての熱いうちに、黒こしょうをたっぷり挽いたり、パルミジャーノを少々すりおろしてふりかけても美味。

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さてさて、今日日曜もプライベート・レッスンがありました。

今日の生徒さんはティールームを出す予定でいらっしゃるので、一緒にパン生地をこねてパンを焼き、スコーンを作って、おいしい紅茶の入れ方を指導。また、お店で使って頂けるように、おすすめのサンドィッチのフィリングも2種類ご紹介しました。

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もうひとつ、パスタを中心としたイタリア料理のほかに、ランチタイムにカレーも出してみたいというご意向で、本格的にスパイスを使ったキーマカレーとヴェジタブル・プラオも実習。

気温がだいぶあがっていたので、ランチ代わりのご試食の際にはヴェトナムの蓮茶を冷たく冷やしてサーヴィスしました。

4時間半に渡る長いレッスン。こうしてたまに一緒に生徒さんと並んで作業をすることで、一般のかたには何がわかりずらく失敗しやすいかを知ることができ、自分が教えるときのヒントをもらえます。リクエストの料理を向き合って教える個人レッスンは、私にとっても大変勉強になるものです。
by amarone-masi | 2009-04-12 19:02 | レッスン
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